不動産売却相談室
Vol.8「新潟市の不動産売却状況・相場について教えてください」
日本海や信濃川、鳥屋野潟といった多くの水辺空間と自然に恵まれた新潟市。平成17年(2005年)に近隣13市町村が合併し、現在では8つの行政区を有する本州日本海側最大の都市となっています。
今回は、新潟市を中心に年間600件以上の不動産取引を取り扱っている越後ホームズが、新潟市の不動産取引に関する最新情報をお届けします。
新潟市の平均地価は4年連続上昇傾向です
不動産取引の価格は、建物と土地の価格を合算したものです。「上物(うわもの)」と呼ばれる建物部分に関しては、築年数や間取り、設備といった条件をもとに査定を行います。まったく同じ条件の建物であっても、エリアによって価格に差が出るのは地価が大きく関わっているからです。
地価とは、国土交通省が年に1回公表する標準地(地価公示法に則って定めた地点)の価格のこと。周辺の住環境やインフラ設備の状況、交通の便などの項目をもとに定められたもので、これが取引価格の指標になっています。
そこで今回は、国土交通省が発表している2022年の地価公示価格の情報をベースに、新潟市の不動産取引の傾向をご案内していきます。
ちなみに公示価格には、国土交通省が発表する「公示地価」と各都道府県が発表する「基準地価」の2つがありますが、調査時点が異なるものの実質的には同じものなので、一括して「公示価格」と呼ばれるのが一般的です。
下記は、今年3月に新潟市が発表した地価公示結果の概要から引用した地価の平均変動率です。プラス評価であれば前年よりも評価が上がっていることをあらわし、反対にマイナス評価であれば前年よりも評価が下がっていることになります。
住宅地 | 商業地 | 工業地 | ||
新潟市 | 0.3%(0.0%) | 0.3%(△0.4%) | 1.8%(1.2%) | |
北区 | 0.6%(0.4%) | △0.1%(△0.5%) | 0.9%(0.0%) | |
東区 | 0.7%(0.4%) | 0.8%(0.1%) | 1.7%(1.3%) | |
中央区 | 1.0%(0.6%) | 0.9%(0.0%) | – | |
江南区 | 1.1%(0.7%) | – | 2.6%(1.8%) | |
秋葉区 | △0.4%(△0.7%) | △0.9%(△1.2%) | – | |
南区 | △0.3%(△0.5%) | – | – | |
西区 | 0.1%(△0.1%) | 0.0%(△0.1%) | – | |
西蒲区 | △1.6%(△1.4%) | △2.6%(△2.7%) | – |
出典:新潟市 ※()内は2021年のデータ
新潟市内の地価は、住宅地・商業地・工業地いずれも平均で上昇という結果でした。前年と比較すると、価格が上昇した地点が52地点から72地点に増加。前年から価格変動のなかった横ばい地点は40地点ありました。全国的に見ても上昇傾向が見られることから、新型コロナウイルス感染症による制約が徐々に緩和されていることが影響していると考えられます。
住宅地に関しては、平均変動率が前年0.0%だったところ0.3%に。こちらも価格が上昇した地点が39地点から52地点に増加しています。新潟県全体では、平成10年以降25年連続の下落となりましたが、下落率は前年より0.1%縮小しました。
特に、中央区は1.0%、江南区は1.1%と前年の変動幅を超える大幅な上昇を見せています。一方で、秋葉区・南区・西蒲区はマイナス変動。特に西蒲区は、大きなマイナスになっています。
これは、JR新潟駅のリニューアルを含む再開発や新潟中央環状道路の完成に向けた期待が高まる中、利便性の高い都市部に人口が集まっている影響が考えられます。
新潟市各区の不動産取引傾向をご案内します
続いて、新潟市の8つの区における不動産取引の傾向を詳しく見ていきます。
新潟市北区|利便性の高さでファミリーに人気
JR白新線や新新バイパスが通っていて、新潟市中心部への交通の便がいい新潟市北区。福島潟や海水浴場といった豊かな自然にも恵まれているため、子育て世代に人気が高いエリアになっています。幼稚園から大学までたくさんの教育施設が集まっていることからも、周辺環境の魅力が伺えるのではないでしょうか。
順位 | エリア | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | 早通 | 3万9600円 | 13万909円 | 0.0% |
2位 | 豊栄 | 3万9509円 |
13万608円 |
0.91% |
3位 | 新崎 | 3万1816円 | 10万5179円 | 0.26% |
4位 | 黒山 | 1万650円 | 3万5206円 | 0.33% |
5位 | 神山 | 5465円 | 1万8066円 |
-0.15% |
出典:土地代データ
より詳しく見てみると、やはり駅に近いエリアほど評価が高くなっています。また、最も高額な早通と最も価格が低い神山では、地価平均価格で3万円以上の開きがあり、同区内でも人気が二極化していることがわかります。
新潟市東区|産業のまちとしてにぎわうベッドタウン
新潟市中央区の隣に位置し、大規模な重工業から軽工業、サービス業まで、多彩な商工業が振興している新潟市東区。国際空港・港湾を有し、物流の主要な拠点にもなっています。
国道7号線・113号線に加え、県道新潟新発田村上線が東西を通っているのでマイカーでの移動に便利。JR信越本線、白新線の3駅をはじめ、公共交通機関も整っています。教育施設や銀行、大型ショッピングセンターといった生活施設も充実しているので、ちょっとした用事であれば区内で済ませられるのも魅力です。
順位 | エリア | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | 新潟石山 | 7万8650円 | 25万9999円 | 0.91% |
2位 | 東新潟 | 7万1600円 |
23万6694円 |
1.16% |
3位 | 大形 | 3万5500円 | 11万7355円 | 1.93% |
出典:土地代データ
公示価格の平均変動率は、住宅地・商業地・工業地いずれも上昇。エリア別に見ると、国道7号線からほど近く、JR越後石山駅を中心に多くの飲食店が並ぶ新潟石山が最も高い評価になっています。
新潟市中央区|政治・観光・商業の中枢を担う新潟の中心地
土地の高度利用が進み、さまざまな都市機能が集まる一方で、国の重要文化財に指定された萬代橋やみなとまちの歴史的建造物など、伝統的文化を感じられる街並みも残る新潟市中央区。2022年9月時点で17万3,355人と新潟市随一の人口を誇ります。
順位 | エリア | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | 新潟駅 | 21万8412円 | 72万2024円 | 1.63% |
2位 | 白山 | 12万9850円 |
42万9256円 |
0.05% |
3位 | 関屋 | 10万4500円 | 34万5454円 | 0.55% |
出典:土地代データ
データを見ると、やはりJR新潟駅周辺エリアがずば抜けて高い評価に。上越新幹線の発着駅・JR新潟駅のリニューアルに伴う再開発が進む中、新たなにぎわいの創出に期待が高まっていることが伺えます。また、商業施設が集まる万代エリアに大型マンションが次々と建設されていることからも、今後ますます多くの人が集まるエリアになることが予想されます。
続く白山・関屋は閑静な住宅街が広がるエリア。教育施設が集まり、子育てにも適した場所といえるでしょう。利便性も高く、人気が高いエリアなだけあり、安定して高い価格を維持しています。
新潟市江南区|都市と農村のメリットを兼ね備える街
2022年の公示価格平均変動率で、中央区を超える1.1%の上昇を記録した新潟市江南区。高速道路をはじめ、国道49号・403号、主要地方道などの広域幹線道路、JR信越本線が通り、交通の要衝としての利便性を生かした街づくりが進んでいるエリアです。
工業団地や大型商業施設も多く、住環境に恵まれる一方、水と緑豊かな河川や農村空間が広がる、都市と農村両方のメリットを享受できる地域といえるでしょう。
順位 | エリア | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | 亀田 | 6万1909円 | 20万4658円 | 1.13% |
2位 | 横越 | 3万2960円 |
10万8958円 |
1.33% |
出典:土地代データ
交通の便もよく、大型ショッピングモールが並ぶ亀田エリアが区内で最も高く評価されました。
さらに細分化すると、JR亀田駅からほど近く、亀田第一病院や商業施設が集まる西町が地価平均8万9,700円で最も高価格。反対に、一帯に田園が広がる小杉が地価平均1万1,700円で最低価格になっています。
新潟市秋葉区|自然豊かなベッドタウンとして人気上昇中
旧新津市と旧小須戸町がひとつになって誕生した新潟市秋葉区。かつては石油・鉄道のまちとして栄え、現在は花き花木、球根の生産地として全国に知られています。
地価はやや下落傾向ですが、秋葉区役所が主体となって土地活用を行なっていることもあり、住宅地の下落率は前年より0.3%縮小しています。
順位 | エリア | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | さつき野 | 4万5350円 | 14万9917円 | 0.74% |
2位 | 新津 | 4万2575円 |
14万743円 |
-0.23% |
3位 | 荻川 | 3万133円 | 9万9614円 | 0.06% |
4位 | 古津 | 2万5416円 | 8万4022円 | -0.10% |
5位 | 矢代田 | 2万557円 | 6万7957円 |
-0.72% |
出典:土地代データ
人気ランキング上位は、全てJR信越本線の駅があるエリア。特に宅地開発が行われ、新たな住宅地が増えているさつき野は大幅に評価が上がっています。さつき野駅からの近さはもちろん、新津東バイパスから近いこともあり、マイカー利用者にも選ばれていることが人気の理由だと考えられます。
新潟市南区|のどかな環境を探している人におすすめ
旧白根市・旧味方村・旧月潟村の3市村の区域で構成され、新潟平野のほぼ中央に位置する新潟市南区。区の東側には信濃川が、区の中央には中ノ口川が流れる緑豊かな田園地域で、農産物の生産地としてトップクラスの生産量を誇ります。主要な公共交通手段はバスで、路線バス・区バス・乗合タクシー・住民バスが、区中心部から放射状の路線網を形成しています。
順位 | 住所 | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | 上下諏訪木字前810-6 | 4万2300円 | 13万9834円 | -0.47% |
2位 | 白根東町1-6-3 | 4万200円 |
13万2892円 |
-0.25% |
3位 | 能登字前400-4 | 4万円 | 13万2231円 | -1.23% |
4位 | 白根字五ノ町3144-1 | 3万1600円 | 10万4462円 | -1.25% |
5位 | 大通南4-160 | 3万1000円 | 10万2479円 |
1.64% |
出典:土地代データ
エリア別のデータが得られなかったので住所でのランキングになりますが、1位は国道460号線沿い、白根総合病院や公園が集まる南区の中心地・上下諏訪木字前という結果でした。
注目したいのが、ランキングの中で唯一プラス変動となった大通南。こちらは国道8号線白根バイパス周辺のエリアで、道路の整備による再評価により、地価が上昇したと考えられます。新潟市中心部へのアクセスがよいので、広々とした土地を探している方には穴場といえるのではないでしょうか。
新潟市西区|優れた交通アクセスと子育て環境
新潟市西区は、新潟市の中で信濃川及び関屋分水路以西に位置し、旧新潟市の坂井輪地区・黒埼地区・西地区を中心に構成されています。人口は約16万1千人で、市内全8区の中で中央区に次いで2番目です。
区内はJR越後線の駅が7つ設置されていて、鉄道沿線や幹線道路沿いを中心に穏やかな住宅地が広がっています。北陸自動車道や国道も通っていて、交通の利便性が大変高いエリアです。
順位 | エリア | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | 青山 | 8万9083円 | 29万4490円 | 0.44% |
2位 | 小針 | 7万1450円 |
23万6198円 |
0.17% |
3位 | 寺尾 | 5万9384円 | 19万6312円 | 0.13% |
4位 | 新潟大学前 | 5万3920円 | 17万8247円 | 0.36% |
5位 | 内野 | 4万3966円 | 14万5344円 |
0.05% |
出典:土地代データ
エリア別に見てみると、JR越後線の駅がある場所の人気が高い結果に。さらに新潟駅に近いほど、地価が高くなっていることから、交通の利便性が地価には大きく関連していることがわかるのではないでしょうか。
高度な学術研究機関としての大学等も複数立地しており、学術・文化・産業が交流するまちづくりが世代を超えた住民の参加によって進められています。2020年には、児童数の増加により小学校が新設され、ファミリー層からも注目されているエリアです。
新潟市西蒲区|穏やかな田園風景が広がる農村地帯
新潟市の南西に位置し、海・山・平野に抱かれた自然豊かな環境が魅力の新潟市西蒲区。西には日本海を望む美しい海岸線と角田山・多宝山があり、山地を除く大部分は、広大な新潟平野に美しい田園が広がっています。
ただし地価に関しては、市内全8区の中で最も大きなマイナス変動。2015年に国立社会保障・人口問題研究所によって算出された将来推計人口の資料によると、今後も人口は減少し、2045年には65歳以上の割合が47.5%まで増える見込みになっています。人口減少に伴い、今後は空き家問題がますます深刻化するでしょう。
順位 | エリア | 地価平均(/㎡) |
坪単価平均(/坪) |
変動率 |
1位 | 巻 | 3万471円 | 10万731円 | -1.89% |
2位 | 越後曽根 | 2万5550円 |
8万4462円 |
-1.55% |
3位 | 岩室 | 2万3400円 | 7万7355円 | -1.40% |
4位 | 越後赤塚 | 9210円 | 3万446円 | -0.61% |
出典:土地代データ
エリア別にみると、JR越後線の駅が位置する4つのエリアがランクイン。教育機関が充実している巻地区が最も高い評価となっています。
どのエリアもマイナス変動ではありますが、リモートワークの拡大や田舎暮らしへの憧れにより、あえて農村地帯を選ぶ若者も登場しています。穏やかな農村地帯でのびのびと暮らしたいという人には、ぴったりのエリアなのではないでしょうか。
不動産売却を考えるなら越後ホームズに相談を
今回は新潟市各区の不動産取引傾向をお届けしてきました。どの区にも共通しているのは、生活施設がそろう中心部に人が集まる一方で、田畑が広がる農村地帯の地価は下落傾向にあるということ。新潟県全体の人口が縮小傾向にあることから、今後も空き家や活用されない土地の増加は避けられないでしょう。
新潟市を中心に新潟県内の不動産売買を行っている越後ホームズでは、不動産買取15年以上の経験と豊富な実績をもとに幅広いお悩みを解決に導いています。
土地の活用方法に悩んでいる方や不動産売却を検討している方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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